不動産営業マン 智樹です
所有している不動産を処分したくても、どのくらい価値があり、いくらの値がつくのか
不動産屋さんはどのように値段をつけているんでしょうか
不動産査定
所有不動産を売却したいと思った時に、いくらで売れるのか知りたいですよね
不動産会社の査定にはいくつか方法があります
基本的には、近隣の売買事例から、対象の物件の状況を加味して金額の査定をします
対象の物件が「売れること」を考えないといけないので
固定資産税の評価がいくらか、それも大切ですが、実際に売れる値段がいくらなのかを算出するのが不動産査定です
売り物件の査定方法
査定の際は、
・現地調査
・法令などの調査
・設備などの物件の調査
・周辺事例の調査
これらの内容を総合して金額を算出します
これらの際に具体的に何を見るかを詳しく説明します
現地調査
現地調査は、名前の通りですが実際に物件の現地に行って、現地の状況を確認します
どこを見るのかというと、図面を見ただけではわからないような事
例えば中古住宅の場合は
・駐車場の有無
・倉庫など未登記の建物の有無
・雨漏りの有無
・近隣に嫌悪施設が無いか
などです
築年数は登記簿などで分かっても、実際にどのくらい古くなっているかは現地を見てみないと分かりません
ドアや窓はあるけど、全部穴が開いている事もあるかもしれません。また、外壁のヒビや鉄骨の錆、シロアリの被害、管理不行きとどきなどは現地に行ってみないと分からないところです
法令などの調査
法令などの調査では、役所でその場所がどのような場所なのか調べます
定められている用途地域によっては、自分が造りたい施設を造ることができないかもしれません
例えば、自動車整備工場を作る為に土地を購入したとしても、用途地域が住居専用地域だった場合には自動車整備工場を作ることができない場合があります
いろんな法令上の制限に該当しないか
建蔽率や容積率は何パーセントなのか
道路に接しているのか
などのその場所がどのような場所なのかを法の観点から調べます
実際に車が通行できる道路に接している中古住宅でも、道路が建築基準法上の道路でなければ、建物を建替えすることができない場合があります
そうなってしまうと、土地の価値はガクっと下がってしまいます
また、水道管が他人の所有物の時などもあり、その所有者へ水道の使用料を請求されるパターンもあります
その場合も、土地の価格に水道使用料を考慮しなければならなくなるので、価格が下がってしまいます
土砂災害特別警戒区域に入っている事もあります
その場合は特別な擁壁などを建てる必要が出ることもあり、特別な擁壁にお金がかかる為、土地が売れる価格は下がってしまいます
そういった、土地や建物を使用する目線で、価値を知る為の調査をします
設備などの物件の調査
これは家に付帯する設備などについての確認です
土地の売却の場合はこの調査はありません
例えば、電気温水器やIHのヒーターがリースだった場合に、どこでリース契約をしているのか、残債がいくらで買い取りすることが可能なのか、などや
庭にどんな樹木や岩があるのか、塀は割れたり壊れたりしていないか、
設備にはどんな機能がついているかも調べます
お風呂には追い炊きがついているか?シャワーはあるか?温水洗浄便座なのか?などの細かいことも調べるし、ついている設備で故障しているものはないかなども確認します
周辺事例の調査
これは同じようなエリアで土地や建物はいくらぐらいで購入されているのか、などを調べます
全く同じ条件というのは無いので、いくつかの事例を調べたら、実際に売れる値段がいくらなのか査定金額を算出します
査定の流れはこのような感じです
実際にあった査定の話
これは僕が実際に体験した話です
数年前、土地を所有のお客様より、土地がいくらで売れるのか、いくらなら買い取りしてもらえますか?と依頼があり、土地の査定をすることとなりました
その土地は周辺に住宅もあり、戸建住宅なら分譲で3棟建ちそうだなというような土地でした
現地の土地は何年か放置されていて、草むらとなっていました
その土地から十数メートル離れた場所に、その何年か前に僕の会社で3区画の分譲地を作り、販売した実績のあるエリアだったので、買い取りできたら売れるなと考えていました
それから査定を開始し、正確な広さを確認する為、土地の登記簿謄本を確認したところ
地目が「畑」
となっていました
そこから法令等の調査を開始し、接している道路にも問題なく他も問題はありませんでしたが、農業委員会で農地かどうかの確認をしてみたところ、その土地には農地登録がされていました
ここまではよくある話です
農地登録がしてある場合に当社がその土地を購入するには、「農地転用の許可が必要ですね」で査定金額を算出できるところなんですが
重大な問題がありました・・・
その土地の前面道路を挟んで目の前に広大な田んぼがあり、その広大な田んぼ群は「農業振興地」という土地で売買はできない農地に指定されていました。そして、その農業振興地となっている土地と道路(それも2車線で広い)道路を挟んでいるにも関わらず、この土地は一団の農地とみなされて「第一種農地」に指定されていました
第一種農地に指定されると、売買ができない訳ではないですが、用途が制限されます
例えば、3棟の住宅用地、これはできません
僕が調べた時は、アパートを建てる、これは可能でした
ですが、アパートを建てることができるだけの土地、欲しくないし売れる気しないので買い取り査定金額も安くなってしまいますよね
結局、僕の会社では金額はあって無いようなもので、購入できなかったです
それから土地の持ち主はいろんな不動産会社を渡り歩いたようで、ある時、その土地が他社さんのHPで売りに出てているのを見ました(金額は住宅用土地の市場価格でした)
その土地が今どうなっているか分かりませんが、今はもう他社さんのHPであの土地を目にする事はなくなり、土地は手つかずでそのままになっているので、誰かが購入した形跡はありません
僕の予想では調べたらやっぱ売ることのできない土地って分かったんだろうなって
まとめ
売る事のできない土地の査定依頼や、査定価格が希望価格より低くなってしまうのは、土地の持ち主が悪いわけじゃないし、持ち主はみんな土地について詳しい事情は知らないことが多いです
農地は特に相続で取得している人が多いですし
持ち主にとって査定した内容は、僕らが調べて初めて聞かされるって事が多いので、信じてもらえない事や足元みられてるって思われる事多いですが、不動産会社を何社か回って、結局同じ事を言われて、やっと信じてもらえるって事もよくあります
僕からしたらしっかり調べて、自分で納得してから売ってほしいので、何社かで査定してもらって、一番高い金額のところで売却を進めるっていうのは良いと思います
ただ、不動産会社によって特徴もあるので、
安い金額を言われるけど売却の速度が速い会社
高く売り出してくれるけど時間がかかる会社
色々とあると思います
その時の状況に応じて、早く換金したければ、前者、長い目でと考えることができるなら後者で進めるのも良いと思います
今回の話の中で僕が伝えたかった事
それは、不動産の売れる値段は固定資産税の評価額ではないって事
査定は無料なのでお気軽にどうぞ(そのかわり個人情報を不動産会社へ渡さないといけないリスクありますが)
それでは
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